和牛繁殖生産という仕事
和牛繁殖生産という仕事
仕事としては、母牛から子牛を産ませて、その子牛をセリ市に出し生計を立てている。セリ市では、全国の肥育農家さんが、セリ名簿と実際の子牛を見て、評価し、セリ落としていくというもの。
よって、我々繁殖農家は、肥育農家さんの動向、枝肉の状況、種牛の人気・性格、これらを見て我が家の母牛に種付けする。ただ、この子が生まれてくるのは10ヶ月後で、その子がセリ市で評価されるのは更に10ヶ月後となる。要は種付けという計画に対し、その収入となるのは20ヶ月後となり、結構博打に近い。
皆、情報収集に躍起になっている。それは当然で、肥育というビジネスに対して子牛という商品を出荷するという、時間のかかる仕事であるから。これって1次産業というより0.5次産業というほうが正しいかも。
肥育農家さんとともに、重要な購買者さんである同業者の繁殖農家さんもいる。自家の母牛として導入して、次の生産の素となるのでこれまた見る目が厳しい。さすがに同業者であるだけに、血統、体格、繁殖性能、そして、品評会の成績や母牛の登録点などで、皆結構こだわって購入されていきます、これは投資ですからね。
いづれにしても繁殖農家は、生きた子牛を販売するので、結構気を使う。この子が行った先で、我がまましたり、いやいやしたり、歯向かったり、時には病気したり、繁殖できなかったりと様々である。でも生き物であるので、先天的な事で避けられないことや、行った先での餌の違い等で問題になることも現実である。
でも、繁殖農家だからこそ、しておかなければならないことで、私が最も気を付けていることがある。「教育」、「しつけ」、「食育」、そして「運動」である。
教育は、人に慣れるとこ、なつくことである。生まれたすぐから、撫でたり、話しかけたり、遊んであげたりして、寄ってくるぐらいの関係を築いていくのです。大きくなっても人を怖がって逃げ回る子ほど手間のかかるものは無いですね。けっしてたたいたりはしないです。
しつけは、蹴ったり、小突いたりしないことです。後から触ったりすると、蹴ったりします。繁殖なので種付けには必ず背後に入りますし、削蹄でも足を触ったり、上げたりしますので、慣れてないと暴れてけがにつながります。真後ろへ廻って後ろ足を撫でてあげたり、お腹やお乳を触ったりして、何ともないということを教えてあげるのです。
食育は、子牛の時と大人の牛とでは、食べ物が変わってきますし、そのための胃を作っておかないといけない。好き嫌いせず、何でもたくさん食べることが、肥育農家さんとしては仕事が早くなるので飼いやすくなる。乾燥草でもサイレージでも、稲わらでも、何でも口にできるようにしています。
運動は、自由に運動場を走りまわれ、他の牛とコミュニケーションし、そして繁殖の練習をさせるのです。牛本来の集団の中で上下関係の築き方や繁殖、そしてイキイキと動き回って、しっかりとした足腰をつくり、繁殖に必要な筋肉を育成し、そしてストレスを解消させることです。
これらができて初めて子牛として送り出していけると思っています。これも、購買してもらった次の主さんの為にしておく、我が家の商品価値だと思います。でもこれらは、セリ名簿にも出てきませんし、見た目にも分からないので、セリ値には反映されないのが現状なんですけどね。
ただ今繁殖教育中のやくみ
「えっ!お兄さんとお姉さん、そんなことするの?(lll゚Д゚)」
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