5頭の特例
5頭大丈夫か?
あの騒動の中、よくぞ生き残ったと思う5頭の種雄牛。宮崎の畜産農家にとっては、希望の光、再建の灯火であることは事実。宮崎は単一種雄牛で、今の和牛子牛産出県になったわけではなく、途切れなく改良を続けてきて、時代時代に合った種雄牛を産出してきたからこそ、現在の地位があると思う。そこには当然、県内に現有する母牛の血統郡を見た、次の種雄牛、次の、と継続してきたからこそであって、残った母牛にはその改良の歴史が残っている。そこには淘汰されたのもいれば、脈々と続いてきたものもいる。
でも今回5頭に絞られた今、同じ県内であっても、感染地域とそうでない地域では母牛郡の違いが出てくる。感染地域では、これから母牛の導入が図られるが、流通している子牛は、やはりこの5頭の血統が圧倒的である。その中から適した母牛となると限られるので、あまり選べないのが現状か。なおかつその5頭の中でも母牛に向く牛、向かない牛もいるので、結構大変。
非感染地域では、この5頭以外の母牛がまだまだ多くいるので、普通に種付けするのに、この5頭以外、あまり考えないのが現状。例えば、今回我が家では、ふたばは「福之国」×「安平」なので「勝平正」を、さくらは「福桜」×「紋次郎」なので「勝平正」、こよみは「美穂国」×「福桜」なので「福之国」をつけています。
県内保留を意識するのであれば(誰が)、ここ数カ月、いやここ数年は在庫の中の有力な種雄牛を斡旋するほうがよいのではないだろうか。というのも、5頭のうち、「福之国」は「北国7の8」系統、「美穂国」は「糸北国」が入るがやはり「北国7の8」の系統、「勝平正」(忠富士)は「平茂勝」系統、そして「秀菊安」「安重守」は「安平」系統と、結構絞られている。ここに、次の16頭から新規の種雄牛が来たとしても選択肢が少し増えるだけで、それもいつになることやら。49+1は生存していないので限界があるというのは理解できるが、母牛郡を揃えるという意味では、在庫(資源)の斡旋は必要かと思う。この先、この5頭だけでしばらく行こうと思うと、血が近くなり限界が来るのではないかと思う。
そして、大事なのは、この5頭は本当に今後も大丈夫なの?国内では特例で残ったけど、清浄国を目指す際に、足かせにはならないのかな?国際標準のの中では、特例なんて聞いてもらえないですよね。肥育牛感染ならまだしも、「忠富士」感染は理由がつかない。一応覚悟はしていますけど、その最終章に行きつくまでは、しばらくそっとしておいてほしいですね。再建という道筋を付けるまでは。
となると次の希望の光は、やはり新しい種雄牛ですか。
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コメント
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はじめまして
確かに非常に厳しい状況になってきましたね(-_-;)
実を言いますと『福桜王』には血統的多様性からかなり期待していたもので非常に残念でした
待機牛という事であまり被害はないと思われている方もいらっしゃいますが
『天奨藤』
『安高平』
『華盛桜』
『茂勝王』
『福桜王』
の5頭は間違いなく時代のエースになっていたと思います
次の検定結果がでるまでの5年をどう辛抱するか
我慢の時が続きますね(-_-;)
投稿: しん | 2010年10月30日 (土) 20時01分
しん さん
ありがとうございます。
今になっても、あの種雄牛たちは残念でなりません。コメントの5頭も、数年先には話題になって、日の目を浴びる日が来ると思っていました。現在の宮崎の血統も、安平側に相当に偏ってしまって、新しい血を入れていく必要がありましたから、それを着々と準備していた事業団としても悔しい思いをしたことでしょう。
現在の5頭もようやく残って、助かってはおりますが、種付けには悩みます。でも、これをなんとか活かして、次の世代まで市場を持たせないといけないですね。
投稿: kawabata | 2010年10月31日 (日) 09時08分
本当に大変になってきましたね(;;;´Д`)
個人的な意見ですが、どうしても『宮崎牛』らしさを出すためには
『福桜』をはずせないと考えています
どうしてもネームバリュー的に『安平』の影に隠れてしまいがちですが(-_-;)
枝肉成績、生産母体としての枝肉成績は全国でもトップクラスです
だからこそ『福桜王』になみなみならぬ期待を、僕はよせていたのです(ρ_;)
こうして生産者の方にめぐりあえて非常に幸せであります
大変だとは思いながらも何頭か素晴らしいファミリーデータを持つ種牛候補も上がっていますし、前を向いて進むしかないですね(*^_^*)
投稿: しん | 2010年10月31日 (日) 18時50分
しん さん
福桜王に期待していただいていて、たいへんうれしいです。福桜は確かに安平の影でしたけど、母体としては抜群で、今でも各農家に残っていますしね。福桜の母体に美穂国で、体格の整った毛並みの良い子ができています。美穂国の良い所を、福桜が引き出しているように見えます。
しんさんのブログの「ひとり宮崎牛計画」もおもしろいテーマですね。隙間産業のようで、誰も真似できないような血統で、「その手があったか」みたいな。
投稿: kawabata | 2010年10月31日 (日) 22時22分
いやいやkawabata様にそういわれるとおはずかしい(-_-;)
非常にマイナーな血統です(-_-;)
糸茂勝×福谷桜×福茂となんじゃって感じなのですが(-_-;)
三代祖の福茂が8産目の枝肉成績がBMS7だったので、当時現場後代検定合同協議会で優秀だった『福谷桜』を残していたら彼女の流れに育種価が郡で5位にはいる姪っ子が存在していまして(* ̄ー ̄*)
糸茂勝で非常にまよったのですが、もしかしたら、もしかするかもと保留してしまいました(-_-;)
広い目でみたら、『安美土井系』と『美福10系』の相互交配になるので、おもしろいかなと勝手にかんがえています
糸茂勝も上茂福や糸北国みたいに母体で爆発してくれると嬉しいのですが(-_-;)
枝の造りは本当に綺麗ですよ(*^_^*)
投稿: しん | 2010年11月 1日 (月) 02時39分
しん さん
>糸茂勝で非常にまよったのですが、もしかしたら、もしかするかもと保留してしまいました
確かに迷いますね。糸茂勝が聞かれるようになった時、純但馬として期待していましたが、気がつくと不穏な空気が・・・。単なる噂だけで消えていった感がありますね。農家皆が、種牛を育てていくよう努力が必要ですね。JAさん、肥育農家さん、そして繁殖農家さんそれぞれが正しい情報を、良いことも悪いことも公正に発信してほしいものです。
投稿: kawabata | 2010年11月 1日 (月) 20時18分
なんといいますか(-_-;)
駄目だと引導を渡された種牛達も、繁殖母牛としてかなりの成績を残していますね
上茂福も
糸北国も
茂福も
気高の飼い方になれてしまった自分たちが但馬の系統を育てきれなかったという背景もあります
いずれにしても、血統の縮小は避けられない未来ですがら、掘り起こしも含めて亡くなった種牛達の財産も上手くつかっていかねばならないですね
投稿: しん | 2010年11月 2日 (火) 01時55分