« やすよ2出産2010 (動画) | トップページ | 種雄牛だった、「福桜王」 と 「茂勝王」 »

2010年8月26日 (木)

和牛繁殖生産という仕事

和牛繁殖生産という仕事

仕事としては、母牛から子牛を産ませて、その子牛をセリ市に出し生計を立てている。セリ市では、全国の肥育農家さんが、セリ名簿と実際の子牛を見て、評価し、セリ落としていくというもの。
よって、我々繁殖農家は、肥育農家さんの動向、枝肉の状況、種牛の人気・性格、これらを見て我が家の母牛に種付けする。ただ、この子が生まれてくるのは10ヶ月後で、その子がセリ市で評価されるのは更に10ヶ月後となる。要は種付けという計画に対し、その収入となるのは20ヶ月後となり、結構博打に近い。
皆、情報収集に躍起になっている。それは当然で、肥育というビジネスに対して子牛という商品を出荷するという、時間のかかる仕事であるから。これって1次産業というより0.5次産業というほうが正しいかも。

肥育農家さんとともに、重要な購買者さんである同業者の繁殖農家さんもいる。自家の母牛として導入して、次の生産の素となるのでこれまた見る目が厳しい。さすがに同業者であるだけに、血統、体格、繁殖性能、そして、品評会の成績や母牛の登録点などで、皆結構こだわって購入されていきます、これは投資ですからね。

いづれにしても繁殖農家は、生きた子牛を販売するので、結構気を使う。この子が行った先で、我がまましたり、いやいやしたり、歯向かったり、時には病気したり、繁殖できなかったりと様々である。でも生き物であるので、先天的な事で避けられないことや、行った先での餌の違い等で問題になることも現実である。
でも、繁殖農家だからこそ、しておかなければならないことで、私が最も気を付けていることがある。「教育」、「しつけ」、「食育」、そして「運動」である。

教育は、人に慣れるとこ、なつくことである。生まれたすぐから、撫でたり、話しかけたり、遊んであげたりして、寄ってくるぐらいの関係を築いていくのです。大きくなっても人を怖がって逃げ回る子ほど手間のかかるものは無いですね。けっしてたたいたりはしないです。

しつけは、蹴ったり、小突いたりしないことです。後から触ったりすると、蹴ったりします。繁殖なので種付けには必ず背後に入りますし、削蹄でも足を触ったり、上げたりしますので、慣れてないと暴れてけがにつながります。真後ろへ廻って後ろ足を撫でてあげたり、お腹やお乳を触ったりして、何ともないということを教えてあげるのです。

食育は、子牛の時と大人の牛とでは、食べ物が変わってきますし、そのための胃を作っておかないといけない。好き嫌いせず、何でもたくさん食べることが、肥育農家さんとしては仕事が早くなるので飼いやすくなる。乾燥草でもサイレージでも、稲わらでも、何でも口にできるようにしています。

運動は、自由に運動場を走りまわれ、他の牛とコミュニケーションし、そして繁殖の練習をさせるのです。牛本来の集団の中で上下関係の築き方や繁殖、そしてイキイキと動き回って、しっかりとした足腰をつくり、繁殖に必要な筋肉を育成し、そしてストレスを解消させることです。

これらができて初めて子牛として送り出していけると思っています。これも、購買してもらった次の主さんの為にしておく、我が家の商品価値だと思います。でもこれらは、セリ名簿にも出てきませんし、見た目にも分からないので、セリ値には反映されないのが現状なんですけどね。

P1040960

ただ今繁殖教育中のやくみ

「えっ!お兄さんとお姉さん、そんなことするの?(lll゚Д゚)」

« やすよ2出産2010 (動画) | トップページ | 種雄牛だった、「福桜王」 と 「茂勝王」 »

」カテゴリの記事

コメント

>・私が最も気を付けていることがある。「教育」、「しつけ」、「食育」、そして「運動」である。

●・肥育さんの隣で20年間仕事をしています。(本州です)
教育がしっかり出来ている子牛は泣き声で解ります。
トラックから降ろされた最初の夜は、元の飼い主さんを慕うのでしょう「もーー」と淋しそうに泣きますが、すぐに新しい飼養家さんに慣れて仲間と仲良しになります。
少し離れていますから顔つきは解りませんが挙動には個性が出ます。
●・あなたの子牛さんは「セリ値」に反映していますよ。評判イイですから。

haruyamaさま
>●・あなたの子牛さんは「セリ値」に反映していますよ。評判イイですから。

って言われると、とっても嬉しいですね。送り出した我が子をほめてもらっているようで。ありがとうございます。
やっぱりこの仕事はお金ではないですね。というか、収入を得るために多頭化を図って売り上げをあげても、素牛に必要な品質を下げては元も子もない。一頭一頭向き合って、いい子も、やんちゃな子も、ノビノビとさせて、そして教育していくことが必要なのでしょう。だから、繁殖生産は少頭数の農家が多いのだと思いますね。

初めてここを見た時、都城の風景と思え懐かしさを覚えました。
それから口蹄疫での種牛助命、新しい命の誕生。
まだまだ色々なことがありますが、
今回の記事が一番知らなかったことでした。
10ヶ月後に他の農家さんのところへ行く。
それまでの間にしっかりした教育を施し、恥ずかしくない我が子として送り出す。
人間の子育て以上です。
小学校の頃の友人の家にも牛や馬が居ましたが、
どちらも田んぼや畑の仕事をしていて、赤ちゃんが産まれたり育てたりというのは実際には見たことがありません。
躾のことは、もちろん知りませんでした。
ここをブックマークしておいて良かったと思った記事でした。
ありがとうございます。

恥ずかしいので、
何回も書いては消し、書いては消ししてましたが、
今夜、思い切って投稿してしまいます。

千葉からさま
ありがとうございます。気軽にコメント下さい。

この仕事は生き物相手です。牛にも性格やその日の気分や、牛同士の好き嫌いでけがをしたり、人間が嫌だったり、子牛は運動場デビューがあったり、先輩牛に怒られたり、初めて口にするものがあったり、そしてお腹をこわしたりと、毎日が変化に富んでいます。自分の思う通りに仕事が進むことは無いですね。結構手がかかるのです。まあ、それを楽しみと思えば、それを許容できるのだと思いますし、できなくなると単なる子牛生産工場になってしまいますね。仕事は楽しくないと。
都城は今でもゆっくり時間が流れていますよ。田園風景も、運動場の牛を眺めている時も、時の経つのを忘れるくらい。

以前は、時間があると牛舎でまったりしている牛を見るのが大好きでした。最近、時間があるとき、あまり、牛舎に行かなくなってしまった(ブログばっか書いてました)。ここ5ヶ月くらい、いろいろと、うまくいかないことが続いたので、すっかり忘れていました、「牛をみる」っていうことを。
所ジョージさんじゃないですが、「面倒くさいことが幸せ」なんですね。手のかかることを嫌がらず、仕事は楽しくしないといけませんね。(反省)

Cowboyさん、こんばんは。
牛飼いの日常は、普段から牛が身近にいるという、この現状でしょう。今回非日常な状態にならざるを得なかった方たちの分まで、楽しまなくてはいけないのでしょうね。
大丈夫ですよ、牛飼いは、好きでないとできませんから。なにせ365日毎日休み無く一緒にいるのですからね。

はじめまして。
couboyさんのコメント欄でお見かけ
しておりました。実はあちらはのうひとつの趣味ブログですが、職業は群馬の酪農家兼小さなチーズとヨーグルト工房のおかみさんです。taurus
うちも子牛から育てておりますので
愛情あふれるこのエントリーは理屈ぬきで感激です。

宮崎の一日も早い復興を心から願っております。
これからもよろしくお願いいたします。

けいさま
こちらこそよろしくお願いします。

私は酪農という職業には頭が下がります。牛のエサやりや除糞や牧草の栽培・刈り取りをしたうえで、更に乳搾りをし、その出荷をしている。けいさんのところは、まだまだ更に製品にまで加工していくというのは並々ならぬご苦労と思います。ご家族が協力してできる事だと思うので、ご家族が仲がいい証拠でしょう。
私は最近気づくことがあります。牛は私を(私の心の中)を見ていると。なんで分かるの、イライラしていること、みんな逃げていくし。なんでわかるの、私の気持ちに余裕があること、冗談してくるし。
日々、牛たちの気持ちを聞いてやることも、仕事のうちなんでしょうね。

牛さんのご機嫌、目つきで、なんとなく、わかりますよね。怖いような眼ややさしいような眼、、、

結構、人間のように、だれだれが、悪いことしたよ!って、告げ口に来たり。。

さて、今や、但島牛の優秀な子牛が、減ってきたので、子牛市場での、ブランド化というか、血統だけでなく、あそこの繁殖農家さんの子牛なら、大丈夫っていう差別化が出来ると良いですよね。繁殖農家さんで、協力して、子牛を点数化して、セリ情報に、プラスできると良いですね。

絶対、愛情かけて育てた子牛は、やさしいし、人慣れしてるし、肥育する側も、楽だと思うのですが。。。

りぼん。さん
牛も日々いろいろで、この間までデレデレとすり寄っては撫でられていた「噂」ですが、鼻輪を固定しているヒモを付け直すため嫌がるところを捕まえて直してあげたら、最近気まずくなり寄ってこなくなりました。ちょっとしたことで変わってきますので、結構気を使いますね。
消費者さんとつながるということは、消費者さんに選んで頂くということでしょう。差別化を図れれば言うことないんですが、長き道のりのような気がします。

豚の場合、結構、反抗している生理期間でも、豚小屋で、毛布を広げ、飼い主が寝てみせると、毛布の中に、鼻から入ってきて、急に、力を抜いて、どさっと、飼い主にもたれて寝てきます。

このとき、肺とか、踏まれないように、気をつけないと、怪我しますが、結局、飼い主を、親のように、思っているのか、寂しくなると、一緒に寝てくれ!と、寄ってきます。こちらから、迫っても、逃げるばかりですけど。。

そこで、毛布で、頭というか、眼が隠れると、かなりおとなしくなります。競馬馬とか、眼の見える範囲を狭めるものを使うように、眼を閉じて、鼻が、いつもの匂いになると、安心するみたいです。だから、寝るときの毛布は、それぞれの豚で、同じ毛布を使ってます。

ひとまず、肥育業者さんに、「よく人馴れした牛を、セリに出してくれる人」と言う評判がつけば、購買意欲が湧くのでは?

りぼん。さん
やはり、豚も人慣れというのが見えるのですね。集団で行動する動物でしょうから、身近に仲間がほしいのでしょう。
それが人であっても、落ち着いた行動で安心するのですね。これが確立してくると立派なんでしょうけど、個体個体で人慣れは差がありますね。半径1mには近づかないで、とか、どこ触ってもいいよ、とか。それでも、なるべく落ち着いて、安心して接することができる牛づくりをしていきたいですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/212652/49260436

この記事へのトラックバック一覧です: 和牛繁殖生産という仕事:

« やすよ2出産2010 (動画) | トップページ | 種雄牛だった、「福桜王」 と 「茂勝王」 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

GoogleAdsence

  • GoogleAdsence
無料ブログはココログ