« 和牛繁殖生産という仕事 | トップページ | 「みなと」のセリ市 »

2010年9月 7日 (火)

種雄牛だった、「福桜王」 と 「茂勝王」

口蹄疫終息宣言がなされた数日後、一通の封筒が届いた。宮崎県家畜改良事業団からだった。中身は、挨拶文と、在りし日の2頭の写真だった。

挨拶文には、殺処分に至った経緯と、その殺処分までの間、・・・できるだけ健康な状態で見送ってやりたいとの役職員一同の強い願いと思いの中で、処分までは毎日献身的な飼養管理に努めて・・・とあり、最後まで大事にされていたことが伝わってきました。生産者の方たちは各地におられ、残念であったと思われますが、実際に身近に、毎日種雄牛達と接してこられた事業団の方たちこそが、最も無念でならなかったことと思いました。

・・・宮崎牛の再建に向けて努力することが、私どもの供養と責務であると肝に命じております。再建には早期に種雄牛を造成することが大変重要であり、経験豊富な皆様方のお力添えが不可欠で、ご支援ご協力を賜ります。・・・とあり、・・・50頭の御霊に哀悼の誠を捧げ、ご冥福をお祈り申し上げます。・・・とくくられていました。

2頭とも種雄牛として一緒に並んではおりましたが、実際にはまだまだ。結果の出ていない試験交配段階で、まだまだ駆け出しだったのですが、あの「安平」や「福桜」、「福之国」、「忠富士」等と一緒に寝食共にしていたかと思うと、実際に種雄牛になっていたんだとあらためて実感するのでした。

そして、

実際に、殺処分されたことが、今回あらためて実感しました。

この、封筒が届いてから、このことを書こうかどうしようか悩んで、少しブログが止まってしまいました。でも、そういえば2頭のその後のことを書いていないなと思って、これを書いておかないと、と思って今回。

「福桜王」

P10501162

目の優しい、背の高い子。

P1050117

足が長いのが特徴でした。

「茂勝王」

P10501182

おっとりした感じで、人懐っこいのんびり屋。 

P1050119

決して大きくはないですが、首の太さは特徴でした。

« 和牛繁殖生産という仕事 | トップページ | 「みなと」のセリ市 »

」カテゴリの記事

口蹄疫」カテゴリの記事

種雄牛」カテゴリの記事

福桜王」カテゴリの記事

茂勝王」カテゴリの記事

コメント

無念、いかばかりか。
種牛候補を除き、福桜の血統を引く種牛がいなくなってしまいました。その中の1頭が、「福桜王」でしたね。
慙愧に耐えないお気持ち、お察しします。
うちにも、試験交配で生まれた「雅福勝」の子がいます。とっても元気です。でも、生まれてすぐに、父親があんなことになるなんて、悲しい限りです。
管理人さんは、家畜改良事業団のことを弁護しておられようですが、私は、これを期に、須く、襟を正して欲しいと考えます。一度、解体しても良いとさえ思います。
4月の終わりの頃の事業団幹部の口蹄疫に対する危機感は、皆無だったと感じるからです。
「10年前と同じように、すぐ、終息するって。」っていう認識だったのではないでしょうか。
もし、あの5頭に口蹄疫が発生していたら、宮崎県民の税金を投入していることに対して、どう説明するつもりだったのでしょう。和牛繁殖農家、人工授精師は、途方にくれるところではなかったはず。

Cowboyさん、こんばんは
雅福勝は都城出身で「福之国」×「平茂勝」ですね。福之国の後継牛の3頭目だったのですが、残念です。試験交配は結果を出すと聞いていますので、12月頃には買い取りのようですね。いい結果が出るといいのですけど。
事業団に対する責任ということですけれど、ここで議論するつもりは無いです。ただ、Cowboyさんは事業団の何に責任を求めておられるのですか?初動ですか、感染ですか、蔓延ですか、特例ですか?私が思うに、事業団の責任は、口蹄疫発生前の防疫に対するリスク管理だと思います。10年前があって、今回ですから。
そして、県民、特に和牛繁殖農家全員にも責任はあり、私にもあると思います。事業団へは何度か見学していて、「こんなに見学者を入れていて、防疫はできているのか」などと言った方はおられるのでしょうか。また、県からも予算措置があるかと思いますが、その中で防疫に関して追求されているでしょうか。リスク管理は何処へ?
今回の口蹄疫災害では、高速道での多重追突事故の中の1台である事業団に対して責任をつきつけているようなもの。事業団も加害者であり、被害者なのです。事業団も一農家と同じようなものですから。

コメント、遅くなりました。申し訳ありません。
>事業団に対する責任ということですけれど、ここで議論するつもりは無いです。ただ、Cowboyさんは事業団の何に責任を求めておられるのですか?

ということのようですので、私の思うところを、簡潔に述べさせてもらいます。
管理人さんの仰っていることと同じようなことなのですが、
▼10年前のことが生かされていない、リスク分散が実施されていないということです。事業団以外の人間(和牛繁殖農家など)にも、責任があるとの指摘ですが、部外者からの意見(防疫という観点から見学者を減らせ、疫病感染という観点から種牛を分散飼養しろ)をどれほど聞き入れる度量があったことか。今となっては、無駄な議論かも知れません・・。
▼宮崎県家畜改良事業団は、県から最近、毎年1.1億円ほどのお金を受け取っています。この使途は、公表されていませんが、少なくとも、県税が投入されていることは明らかです。私は、県庁に直接電話して確認しましたが、畜産課の職員は、「県から事業団にはお金は渡っていません。天下りはいません。」とお答えくださいました。このあたり、不透明さを感じた次第です。
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000129700.pdf
判断は、分かれるところですが、平成21年4月1日現在で、役員23名(職員23名に対して)は、どういうことなのか。そして、あんなフルカラー光沢紙のパンフレットは必要なのか。税金は、有効に使われているのか。

といったところです。

Cowboyさま
Reコメントありがとうございます。
10年前の口蹄疫の教訓として、リスク管理が問われたはずです。ただ、和牛農家へのサービスとしての見学も必要な広報活動であったことは事実です。このリスク管理と広報とのバランスを、段階的に実施できていればよかったのだと思います。段階的とは、平常時-近隣諸国発症時-国内発症時-県内、とその時々で、ローレベルから、現在のトップレベルまでと。それが計画的に実施されていなかったのではないかと思います。皆、心の中には、「防疫対策はやらなければいけない」と思っていたはずです。Cowboyさんがおっしゃりたいことはよく分かりますが、今となって、です。私もそうです。トップレベルにギアが入ったのは、都城に入ったときですから。
でも、拭い切れないのは、それをも上回る災害、「100年に一度の畜産大疾病災害」だったのかもしれません。

県の財政支出1.1億円の使途は、主な県財政支出の内容に書かれているものですね。県の事業の受託事業でしょう。委託料が事業の運営費用、補助金が協力農家への支出分と見受けられます。この中身までは確かに分かりませんから、更にお尋ねになられたらと思います。そして役員については、いわゆる天下りではないと思います。
我々は繁殖農家です。事業団の恩恵も受けているはずです。事業団と農家のやり取りで種雄牛が造成されてきたことも事実です。宮崎県の畜産が危機的な状況の中、次を見据えた提言をしていくことの方が、良くないですか?和牛繁殖ブロガーとして、口蹄疫を近隣で経験したCowboyさんとして、ネット発信していくことがあるのではないでしょうか。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 種雄牛だった、「福桜王」 と 「茂勝王」:

« 和牛繁殖生産という仕事 | トップページ | 「みなと」のセリ市 »

2022年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

GoogleAdsence

  • GoogleAdsence
無料ブログはココログ