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2010年10月

2010年10月28日 (木)

TPPって本気なの?

ニュース、新聞各紙で連日報道されているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、かなり気になる。

関税の全面撤廃による貿易自由化を目指すというもの。今、太平洋を取り巻く米国やオーストラリアなどの9ヶ国が交渉中なので、いま入っておかないと乗り遅れて、輸出額が減るというもの。そして、関税を無くした安い輸入品を、消費者が購入できるらしい。来月のAPEC首脳会議で参加表明をしたいらしい。現在、そのための経済効果、関連産業への影響を試算中である。

当然、農産物の輸入関税が緩和され、消費者は安い外国産農産物を買うことができ、メリットがあるだろう。そして、国内の農産物も輸出がし易くなるだろう。

でも、はたして日本の消費者は外国産の農産物を食べたがっているのだろうか。それは安いから?日本人は国産の農産物が高いから食べないのか?じゃぁ国産の農産物が安かったら食べるのでは?変に外国産の農産物が格安で入ってくるので、そちらを手に取るから、国産は売れなくなる。そして国産が高くなる。国民全員が国産の農産物を食べるようになれば、国産も安くなるのに。

今回のTPP参加で、食料自給率が14%に減少し(目標50%だった)、340万人の雇用が失うと試算されている。国内農業に壊滅的な被害が出ると、農業各団体が反対を表明している。

私は、この数字をみて思うのは、農業が壊滅するのが怖いのではない、「日本人が食料をつくれなくなる」、というのが最も重く、怖い。いま、やっと農業に目を向けてくれて、若い人たちが就農を目指し、そして活躍してきている。それは農業に魅力を感じたからで、これから伸びていくところだった。このやる気の芽をここで摘んでしまうと、誰も農業はしなくなり、外国産がスーパーに並び、そして国産が消える。

食料をつくれなくなった日本人は、生きる基礎となる「衣・食・住」の食を外国に握られ、結局、国内の輸出産業物が買いたたかれるようになるのに。

誰の為のTPP参加なの?

2010年10月22日 (金)

子牛の情報公開 始めました

子牛生産における、飼養履歴の情報を、今後公開して行くことにしました。右のメニュー欄に「子牛履歴情報」として設けました。今後、生産する子牛の飼養情報を順次追記し、公開して行きたいと思います。

今日、農畜産物は、安心・安全の追求と、食料自給率向上の基に生産して行くことが求められています。畜産物、特に牛については、今回の口蹄疫やBSEなどの伝染病の危機にさらされ、生産現場での飼養状況が注目され、更なる安全性が求められるようになってきました。しかし、公開される情報は、トレーサビリティーという10桁の番号で表示される生産者からと畜されるまでの過程が分かるだけで、どのように飼養されてきたかは分からない状態です。「食の安全」を担う一生産者としても、その責務は大きい。

とは言っても、私たちの生産する子牛を、一消費者に届けるところまではいかない。私たち和牛生産農家の生産する子牛の消費者は肥育農家、そして同じ和牛生産農家です。セリ市で名簿に載る子牛の情報と、子牛そのものを見て評価購入していただくのだが、更にそこに至る生産履歴(飼養履歴)を公開することで、その子牛の正当な評価をして頂きたいと思っています。中には、公開すれば不利な情報も含まれてきますが、それはそれで事実として見ていただき、納得の上で判断してもらえたらと思います。これが生産者と消費者(購買者)との信頼関係につながればいいと思います。

過去に当ブログ中で、「OEM子牛生産市場としての責任(2010/8/9)」として記事を書きました。その中で、

http://usi-cow.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-304d.html

>特色のある市場とは何か?種牛は必要である。ただそれだけではない、もっと違う切り口でのアプローチが必要なのだと思う。

と、書きました。今回、この飼養履歴の公開が、このアプローチの一つと考えております。子牛の購入者は牛肉の消費者ではありませんが、情報を公開して行くことが、消費者の「食の安全」につながり、ゆくゆくは喫緊の課題である食料自給率の向上に貢献するものと思います。

2010年10月14日 (木)

牛のネーミングは商品価値

牛の名前、ちゃんと考えていますか?

和牛繁殖生産農家では、母牛飼養頭数に応じて年間に相当数子牛が生まれます。人間と同じ期間お腹の中にいて、生まれてくる子牛はまさしく我が子のよう。10ヶ月前に、母牛の血統との組み合わせを見て、そして市場動向を加味して悩んで種付けし、母牛の管理をしてやっと生まれてくるのですから、かわいくて仕方が無い。オスかメスかを見た後は、さて、名前を何にするのか。ありがちなのは、種雄牛由来の名前と、母牛名由来の名前、そして番号ですね。これでは、我が子のようにかわいいと言いながら、「忠男2」とか、「さくら」の子で「さくらふく3」とかでは、少し味気が無い。分かりやすいですし、頭数が多いと面倒、と思いますけどね。

そこで、「名前も商品価値の一部」と考えてみてください。要は名付けを「ネーミング」として取らまえてみてはどうでしょうか。子牛も立派な商品です。血統、体型、増体、育種価、毛並み、健康、性格、食育、しつけ、そして「名前」も商品価値をきめる要素なのです。

ネーミングをネットで検索してみると、車、お菓子、化粧品、社名、ブランド名、その商品戦略やヒットの背景とあらゆることが書かれており、その価値を決める重要な要素であることがうかがえます。

でも、親の代から名付け方法は決めてるから、ということももっともですが、逆に購買者は誰か?ということです。農家はまだまだ個人経営であることから家族でやっているところがほとんどです。ということは、夫婦で経営であることから、農業人口の約半数は女性だということです。セリ市会場を見てください、女性の多いこと。経営主は確かにご主人でしょうが、母牛素牛購入に至っては、奥さんも意見することがあると思います。若い世代の経営者では顕著でしょう。

ウロンコロンさんのブログ(9/13)でのやり取りで、http://yaplog.jp/uronnkoronn/daily/201009/13/

>「なんでこの牛がいいと思ったの?」

>「名前が可愛くねぇ?」

>とか

>「目があったから」

>とか …相変わらずな理由

これが、購入を決めるやりとりの一部です。もし、名前が気に入っていて、それがお互いある程度いいと思っていたら、購入のセリボタンを押す手は動くでしょう。一度気になった牛のきっかけが「名前」であったとしても、最後まで気になるはずです。

あなたの子牛の名前、気にかけていますか?

2010年10月 9日 (土)

「福桜王」の現場後代検定

「福桜王」の現場後代検定調査牛の買上げがあり、見に行ってきました。

口蹄疫で殺処分された「福桜王」ですが、去年の4月試験交配がスタートしていたことから、今年の初めに産まれ、現在約8ヶ月齢で、現場後代検定調査牛として今回買上げとなりました。種雄牛としては殺処分された為、この世にはいませんが、今後の育種改良用に産肉能力の結果を出すということでした。種雄牛として送り出した私としても願ってもないことですし、何より、試験交配に協力頂いた方のためにもぜひとも結果を出していただきたいと思いました。

本日集合したのは9頭で、この前段階での選抜があったようで、22頭からの選ばれし子牛だったようです。他の地域にも数頭の選抜牛がいるとのことでした。それぞれ、体重、体高、胸囲などを計測され、体型評価を経て家畜改良事業団とJAの担当者で審議。1頭ずつ呼ばれ、買上げ金額を提示されていました。相場はというと、直前のセリ市平均価格+αだということでした。これが妥当かどうかというところは分かりませんが、まだ、世に出てきていない種雄牛の産子なので購買者もいない可能性もあり、いいところではないでしょうか。みなさん種雄牛造成の為ならと、このように和牛農家が積極的に協力されているからこそ、今までの種雄牛達が、作り上げられてきたのだと思います。また、今回協力頂いた生産者の方たちには、精液ストローを1本もらえるそうです。「安平」とか「第一花国」とか言っても、それは無理らしいですけど。

今後、この9頭と他地域の数頭は、事業団とJAの農場で試験肥育に入り、20カ月後には枝肉となって産肉能力の判定がなされるそうです。その時には、しっかり見届けなければと思っています。

今回並んだ9頭の牛たちの耳のタグに、「福桜王」と書いてあるのを見たら、なんか懐かしくなってしまいました。「珀」の子供なんだなぁと。

P1050347

体格を計測中。母体がそれぞれなのと、生産者の飼養管理もそれぞれなので、体格も一定ではないです。一種のセリ市会場と同じですね。

P1050348

審議中。4頭の雌がいました。

P1050349

こちらは去勢、月齢よりは大きいと思いました。

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協力のお礼と今後の動きについて説明がありました。(私からも感謝です。)   

2010年10月 3日 (日)

感謝状

                      感 謝 状

 今回の口蹄疫という疫病災害で、感染拡大を阻止する為に、牛・豚・水牛・猪を殺処分して下さった方々、そして、その防疫に携われた方々、更にその防疫にあらゆる面でご協力いただいた方々、本当にありがとうございました。特に殺処分を余儀なくされ、大事な宝を失ったことは大変なショックであったことと思います。感染拡大という見えない圧力、見えない未来の中で、皆一丸となって拡大阻止の一点の目標に向かって突き進まれたことは、皆さまの勇気と決断力があってこそだと思います。今日私たちは無事畜産を営まれることができるようになりました。これもひとえに皆さまの、その大英断のおかげです。大変ありがとうございました。

よって、ここに感謝状を贈り、心から感謝の意を表します。                                           

                                       平成22年10月                                              

                                       kawabataと牛一同

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