子牛の情報公開 始めました
子牛生産における、飼養履歴の情報を、今後公開して行くことにしました。右のメニュー欄に「子牛履歴情報」として設けました。今後、生産する子牛の飼養情報を順次追記し、公開して行きたいと思います。
今日、農畜産物は、安心・安全の追求と、食料自給率向上の基に生産して行くことが求められています。畜産物、特に牛については、今回の口蹄疫やBSEなどの伝染病の危機にさらされ、生産現場での飼養状況が注目され、更なる安全性が求められるようになってきました。しかし、公開される情報は、トレーサビリティーという10桁の番号で表示される生産者からと畜されるまでの過程が分かるだけで、どのように飼養されてきたかは分からない状態です。「食の安全」を担う一生産者としても、その責務は大きい。
とは言っても、私たちの生産する子牛を、一消費者に届けるところまではいかない。私たち和牛生産農家の生産する子牛の消費者は肥育農家、そして同じ和牛生産農家です。セリ市で名簿に載る子牛の情報と、子牛そのものを見て評価購入していただくのだが、更にそこに至る生産履歴(飼養履歴)を公開することで、その子牛の正当な評価をして頂きたいと思っています。中には、公開すれば不利な情報も含まれてきますが、それはそれで事実として見ていただき、納得の上で判断してもらえたらと思います。これが生産者と消費者(購買者)との信頼関係につながればいいと思います。
過去に当ブログ中で、「OEM子牛生産市場としての責任(2010/8/9)」として記事を書きました。その中で、
http://usi-cow.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-304d.html
>特色のある市場とは何か?種牛は必要である。ただそれだけではない、もっと違う切り口でのアプローチが必要なのだと思う。
と、書きました。今回、この飼養履歴の公開が、このアプローチの一つと考えております。子牛の購入者は牛肉の消費者ではありませんが、情報を公開して行くことが、消費者の「食の安全」につながり、ゆくゆくは喫緊の課題である食料自給率の向上に貢献するものと思います。
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コメント
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いや~、すごいこと始めましたね。肥育農家がこの情報を欲しがっているかどうかは不明ですが、最終消費者は、知りたがっていると思います。
以前、当地区でも、子牛の治療来歴を閲覧することを許可する旨の書類に署名させられた農家がいました。閲覧したいのは、I県のY畜産という肥育業者ですが、牛肉のJAS法による表示義務の為との説明でした。
但し、不思議なことに、子牛の治療来歴の閲覧申請は、未だに、一度も成されていないそうです。どう解釈したらよいのか、よく分かりません。
管理人さんが発信されたいのは、治療来歴だけではない。つまり、JAS法云々のレベルではないので、非常に斬新です。ある意味、将来のセリ名簿(電子版)の雛形となる内容を含んでいると思います。
話は、代わって、やはり、バイコックス、使っているんですね。うちでも、昨年から使ってます。本当にいい薬ができたものです。どのステージでも効くというのですから。でも、もうちょっと、安く(500円/10ccくらい)なると良いんですが。
蛇足ながら、子牛の母牛の情報もお出しになるつもりは?母牛も、やがて、セリに掛けられるし、雌子牛の繁殖能力は、母牛からの遺伝的形質と考えられますので。あと、育種価のこともありますが。
投稿: Cowboy | 2010年10月24日 (日) 14時44分
Cowboyさま
確かに治療履歴の閲覧などの問い合わせがあると聞いたことがあります。現在の生産側のスタンスは、聞かれれば情報は出します、といった対応でしょう。全ての情報を出すことには、業務量の煩雑さや、正確さ、必要性などから躊躇されているのだと思います。
でも、宮崎県はこれから口蹄疫の対応で失った信用を取り戻さなければならないはずで、なおかつ、畜産県であることから率先して出すべき情報は出す姿勢が必要と思っています。飼育履歴情報は出す側が必要性を判断するものではなく、購入して頂いた方が判断するものです。
ですので、我々子牛生産者は率先して情報を提供するべきでしょう。
バイコックスは重宝しております。これを導入したおかげで、季節の変わり目であった4月~5月にかけて、毎年下痢で悩んでいましたが、今年は全く出ず、口蹄疫で獣医さんもこれない時期でありながら、医者いらずで過ごせました。共済の治療費を考えると安いものです。
母牛も載せていくつもりです。あと飼料給与関係も予定しています。
今回の公開は、良くない情報ばかりが目について、良い情報は明記しにくいのが難点ですね。まあ、そこはセリ市会場で現物を見て頂くということで。
投稿: kawabata | 2010年10月25日 (月) 13時01分
一消費者として牛肉を頂くときに思うのは、
自分はその命が誕生するときにも育まれるときにも立ち会っていない自分に出来ることは、せめてその命が辿ってきた軌跡や生産者さんの愛情を感じ取ることではないだろうかということです。
特に一部牛肉については個体識別番号が付いており、
インターネットで検索できます。
そこで得られる情報は、たしかに大雑把といえば大雑把な情報かもしれません。
しかしそこから他の何かも読み取れるのではないかと思いながらじーっと画面を見つめたりします。
また、値札に書かれているその番号をカメラで撮って、
何となくずっと削除せずに残しています。
そんな中、このように更に詳しい情報を公開しておられることは、
消費者にとって本当にありがたいことだと思っています。
正直、素人には専門的な用語は分かりません。
でも具体的に記されていることによって、今までぼんやりとしか想像できなかったことが、よりくっきりと鮮明になります。
牛さんの情報と共に、それを日々見ている生産者さんの視線というものも感じられるのではないでしょうか。^^
…そして何より、口蹄疫発生以降に生まれた子たちが
健やかに、立派に育っている姿を見れることが本当に嬉しいです。ありがとうございます。
もうこんなに大きくなったの~!と驚きと共に拝見しました。
今後もみんながすくすくと育っていけますことを願っています。
また、寒さの厳しい季節がやって参りますのでkawabataさんご自身もお体に気をつけてお過ごしください。
投稿: ごんざれす | 2010年10月26日 (火) 19時55分
ごんざれすさま
いつもありがとうございます。
今回このような情報を綴っていっても、とらまえ方は人それぞれで、ごんざれすさんのように一消費者として見ていただく方とか、肥育農家さんとかでは変わってくるのだと思います。それに結果は良い・悪いでもないのだと思います。命の大切さ、動物愛護、食育教育、食の安全、どこからみても、これが現実に行われている産業であって、知ってほしいことです。これを見て頂いて、不利な条件になることもあるでしょうが、それも大きな含みの中で許容できるようになればなと。
私たちの仕事は、畜産という「牛の命のリレー」の先頭にいるので、最終消費者までバトンを繋ぐこと、それが大事な我々の仕事なのだと思います。そして、次の世代にこの仕事を自信を持って引き継いでいければと思います。
投稿: kawabata | 2010年10月27日 (水) 13時14分