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2010年11月 2日 (火)

「口蹄疫」130日の闘い、あのブルーシートの中では・・・

西都市長の橋田和実さんが、本を執筆され、11/1に出版された。

10/29に宮日新聞に発売されることが掲載され、即買いに走った。橋田さんが手記を綴っておられることは、何かのニュースで聞いていたので、とうとう発売の記事に気が焦った。宮崎では先行発売だったのでしょうけど、それでも大手の書店にしかありませんでしたが、今は全国発売になったところです。

私は(私もかな?)今回の口蹄疫で、最も知りたかった事は、殺処分の様子でした。畜産、特に和牛繁殖農家として、不謹慎とは思いますがその実態を知りたかった、見ておきたかった、そしてその現場の雰囲気を直に感じておきたかった、というのがその理由です。

私の地域は都城、感染がすぐそばまでせまってきてはいても、近くで見に行くわけでもなく、作業の応援に行けるでもなく、身近にその口蹄疫を感じることは、他県の方と大差は無く、あらゆるニュース報道やネット程度でした。大変な危機意識は感じていましたし、消毒もしました、再建へのシミュレーションも考えていました。ただ、抜け落ちていたもの、それが現場の様子、惨状、そして虚無の感覚でした。それと大事なものが、人の心の動き、次々進展する決断の様子です。

この本は、それらを十分感じさせてくれるものでした。処分の作業の様子、埋却の現状、悲惨な惨状の写真があり、ニュースの映像の、あのブルーシートの中で何が行われ、どのように作業を進めていたのか、良く分かるものでした。おびただしい数の黒い牛と、それに匹敵するぐらいの白い防護服の作業員、白と黒、生と死、お互いが生きていくための選択の違いに、大きなギャップを感じる様子です。

それと、本文に殺処分までの動きが、時系列で書かれています。気を引くところは、その当事者である立場で書かれているので、その判断や経緯、気持ちの揺れ動きなど、ニュースで報道される内容の合間合間で、何があって、方針が出て、誰が賛成、反対、説得、気持ちの動き、その場にいなければ分からない、違う切り口の口蹄疫が展開されています。ドラマでも書けないような現状があったという、「事実」でした。

今後の畜産を支えていくうえでも、知らなければならない、避けては通れない事実ですので、これをもって再度口蹄疫に対する考え方を、再構築することが、急務だと思った。そうしないと、もう次は無いのだと。

今、もう何事もなく牛飼いができ、セリが行われ、牧草作業ができること、これはこの本の中で展開されたことの上に成り立っていることを、まさに実感した。防疫に携われた関係方々、本当に感謝!のひとことです。

P1050433

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コメント

情報不足でした

まさか市長が執筆されていたとは


これは読まねばなりません

しんさん
現地の生の情報はなかなか出てきませんから、貴重な資料です。
口蹄疫はまだまだ終わっていませんからね。
橋田市長に感謝です。

この本の存在は知っていましたし、中身も少し、紹介されている所をみたことがあります。まだ、買って読む勇気が持てません。うろんころんさんのTV番組で号泣してしまったもので、まだ、覚悟ができていません。
それでも、いつか買って読もうと思っています。
口蹄疫のことを忘れてしまいそうなとき、この本を読めると、気持ちも新たに、消毒・防疫がより、徹底できるというものです。

Cowboyさん
あれだけの被害を出した口蹄疫、あらゆるところで検証がなされていますが、核心に迫った内容というのにはなかなか出会えていないですね。我々はまだまだ知る必要があるのだと思います。この本はその一端だと思います。
おっしゃる通り、これからどのように消毒して防ぎ、そして入ってきた場合にどのように対処して、感染拡大を防ぐのか、効果があるのか、課せられた責任は重いですね。

本いっきに読んでしまいました。          偽らずに正直に書かれているとおもいました。
ありがたいです。                                          それとおそくなりましたが、最中にブログを書いて下さり有難うございました。家から出ることができない中情報を得ることができ細い光を持ち続けられました。                                    ワクチン接種農家です。

はま さん
コメントありがとうございます。それと、当ブログを見て頂いていて大変うれしいです。
ワクチン接種農家さんということで、お気持ちお察しします。混乱の中、そのお気持ちをぶつけるところも、相談するところも無く、ネットに求めてみたところで、好意的なサイトもあったでしょうが、逆に批判的なサイトが目立つようになり、気持ちの行き場を失っておられたのではないでしょうか。
結局、渦中の情報発信は、ほぼ無くなり、ネット上では噂や想像が本当かのように出回り、被災農家さん方々を更に苦しめられたことと思います。
今回このように、その殻を破るように出てきた本は、私どもには貴重な情報源で、再び気持ちが舞い戻る気がしました。同じ牛飼いとして、大変心苦しい内容ですが、あってはならないが次に誰かが活かせるような情報発信になったことと思います。
順次牛の導入が始まっていると聞きます。元気な牛をまた育てて、あの頃のように皆が笑ってセリ市に出てこられ、牛飼いを楽しめるよう応援させていただきます。

はじめまして、永田と申します。

cowboyさんのブログから来ました。

ブログへの書き込み返信ではなく恐縮ですが、、
想いをお聞かせ頂きたくコメントしております。

宜しければメールを頂けないでしょうか。
今後の想いやお考えを綴ってください。

すぐには変わらないかもしれませんが、
最初の一歩は非常に意味を持っていると考えます。

宜しくお願いいたします。


永田さん
コメントありがとうございます。

>すぐには変わらないかもしれませんが、
>最初の一歩は非常に意味を持っていると考えます。

なにかすごく意味深ですね。
メール送らせていただきました。
今後ともよろしくお願いします。

う~ん、永田さん、管理人さん、お二人で何か、企てごとでもなさろうということですか?
このコメント欄に記載され、公の目に晒されては、都合が悪いことですか。
「最初の一歩!」、う~ん?
ということは、二歩目以降もあるということですね。

管理人さん、cowboyさん、お疲れさまです。

>すぐには変わらないかもしれませんが、
>最初の一歩は非常に意味を持っていると考えます。

う~ん、確かに意味深ですね。
大袈裟な感じになっていますけど、単純なことですよ。

はい、もちろん二歩目以降が重要です(笑)
しかし、都合の悪いことではありませんのでご安心ください。
世の中みなcowboyさんみたいなポジティブな方ばかりであればいいのですが、
何かにつけネガティブな事をいう方も居られますので、
コメント欄でのやりとりは控えた方がよいかと思いました。

cowboyさんにも、そのうち報告いたしますね。

永田さんへ
どういった内容か分かりませんが、とても楽しみにしています。ワクワク・・・・。

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