« せかい と ひみつ 町の品評会 そして郡品へ | トップページ | 口蹄疫対策検証委員会報告、一畜産農家として »

2010年11月21日 (日)

TPPと和牛と冷凍精液

菅首相のTPP加盟推進の発言から、日本中が瞬く間に大混乱となった。しかし他国を見る限り、TPP加盟は避けられない感じがしてきます。工業製品の輸出が好調となり、日本経済が活性化してくることが期待できる。そのことで雇用や金融や財源といったところが広く好調になるでしょうから、しいては農産物の国内消費も伸びてくるであろうと思います。(ホントかなセリ値上がるかな?)

但し、海外の安い農産物に国内消費は乗っ取られるのではないか。政府は農地法の改正で、企業の農業進出、大規模化を推進し、ブランド化で特異性を出して対抗するような動きを推進する等と考えているようですが、とても正気の沙汰ではないですね。企業は安い雇用コストを求めて海外生産へシフトし、逆輸入で対抗することと思います。

ここで、危惧されることは、私としては和牛はどうなるかということ。

和牛も飼養管理方法はほぼ完成されています。このまま安い労働力を求めて、安い土地を求めて、海外へ拠点を移す企業が出てくると思っています。そうなると、和牛は今までの流通形態を通らず、A4以上の高級肉でも格安で国内流通できるようになるのです。それも、れっきとした「和牛肉」として、海外牛肉に対抗できる価格で。

それにはハードルがあります。母牛の生体を海外へ出してしまうということ。そして大事なのが、門外不出の冷凍精液まで、海を渡らせてしまうということ。和牛の海外進出を許してしまう可能性が大いにあります。私は和牛の遺伝情報は、日本の知的財産であって、保護されるべきものと思っています。ただ、企業の倫理から言うと、和牛だけ海外には出て行ってはダメなのかってことになるのでしょう。でも、一旦海を渡ってしまうと、その冷凍精液や、母牛が他国へ用意に取引されることは容易に想像できます。

和牛は国内の資源保護に、農地の高利用化に大変貢献しているはず。企業化も進めるであろうが、海外進出だけは何とか阻止してほしい。そして、冷凍精液は、知的財産であって、農産物ではないということ。そして絶対に海外に出さないということを切に願っています。

« せかい と ひみつ 町の品評会 そして郡品へ | トップページ | 口蹄疫対策検証委員会報告、一畜産農家として »

」カテゴリの記事

コメント

TTP、一時流行していた、マイレージコスト?でしたっけ?
とかは、どこにいったの?

なんで、海を渡ってくる肉が、国内生産品より安価なの?

食料自給率向上は?

為替レートって何?

生活価値感の多様化?

収入の差

考えは、グルグル


牛は、生きてる
私は、生きるために食物を摂取する。

牛も私たち人間も、一緒に地球に住んでいる。


お邪魔しました
m(u_u)m

繁殖さん(HMが正確に表示できなくすみません)
食料という、生活するうえでの三原則「衣・食・住」のひとつについて、真剣にそして国民みんなが考えなければいけない時期に来たと思っています。和牛とか、米とか、糖類とかのレベルではなく、もっと大きなものの見方が必要なのでしょう。最終的には、国内の商・農・工が連携し、そして共生・共存できることを目指すべきです。勝ち組・負け組、対立、こんなことを国内でやっていては共倒れになると思います。
また、ご意見いただければ幸いです。

TPP参加で、セリ値が上がる?風が吹けば桶屋が何とかより、胡散臭い!
黒船に対抗するには、国内が結束するしかないでしょう。和牛の世界は、秘密主義が多すぎる!県外に買われた子牛の情報など、「いついつ屠畜された」くらいしか分からないことが多い。情報を共有して、県ではなく、国としての家畜改良事業団(天下り無し)を作るべき。現存する国の事業団は、独立行政法人がゆえに、得体が知れない。

Cowboyさん
購入された子牛の治療履歴等は、共済に対し照会があると聞きます。先日の家畜共済の申込時に、情報開示の同意署名をさせられました。肥育農家さんからの情報提供依頼があるからと聞きます。ならば、その逆もあるべきで、と畜された後の枝肉情報は、必ず戻すということをルール化すべき。肥育農家さんと繁殖農家さんは一心同体のはず。繁殖農家を育てることも肥育農家さんの使命だと思うのですが。
現在の国の家畜改良センターは前回の事業仕訳で、民業圧迫につき、規模縮減のようですが、その後は?
おっしゃっている全国の事業団化はいつかはできるかもしれないですね。でも、地域の特色は失われることも覚悟しておかないといけないですね。

忙しくて、久しぶりに拝見しましたが凄くいい話題があったのですね。


>県外に買われた子牛の情報など…
都城では、当月セリ子牛の兄弟牛5等級バックデータが配布されますが、市内肥育農家結果分だけです。
市外、県外も情報開示するよう求めたところ、県外肥育家から、、子牛が高くなるからダメといわれた経緯があります。

共済の情報開示の同意署名は、JAS規格に関するものですね。
こちらは、JAS規格書類作成により情報を求めましたが、共済から時間外仕事になるので出来ないと言われた経緯もあります(笑)

ったく、、どいつもこいつもです。

TPPにしても、世界情勢にしても、愚かな人類が喉元通り過ぎれば…の繰り返しですね。

でも、共生共存の道は諦めていませんよ。
何かを隠して楽しようというより、公開しその上をいく人がいれば努力すればいいだけだと思います。

がんばりましょう。


永田さん
>市外、県外も情報開示するよう求めたところ、県外肥育家から、、子牛が高くなるからダメといわれた経緯があります。

この話を聞くと、繁殖農家は産肉能力のある母牛を持っていながら、肥育データが帰ってこないことで、その子牛を破格の安値で売っていることになりますね。正当評価、適正価格が叶わないならば、繁殖農家は掃いて捨てられるわけですから、恐ろしいことですね。全てオープンにできないのであれば、せめて繁殖農家にだけは結果を送付する、ぐらいの事は必要ではないでしょうか。
繁殖肥育一体一貫経営といった、グループで囲い込みができてきてもおかしくないですね。そうなるとセリ市は子牛が出てこなくなって、形ばかりになってしまいますけどね。

kawabata 様
>繁殖農家は産肉能力のある母牛を持っていながら…

そうなんです。
こんな私利私欲のために、どれだけの財産が失われてきたことか。
私は、悔しいので一貫経営をやめないのです。。
繫殖家は、良い子牛を作れば作るだけ枝肉販売力のある県外に購買されてゆきます。

折角の個体識別番号があるのですから、
一般公開はしなくとも(個人的には一般開示希望)然るべき機関へは、収集できるよう出来るはずですがね。

自分も大切。自分の子も大切。
しかし、今の得ばかり考えていると、、結局は自分へも子孫へも何も残せないで消えていくのだと思います。

今現在がその時かもしれませんね。


興奮してしまい書き忘れてしまいましたが、

>繁殖肥育一体一貫経営といった、グループで囲い込みができてきてもおかしくないですね

そうなんですけど、今の宮崎牛、、経済連には最終的な「牛肉」の販売力がないので、
繫殖肥育一貫の地域一貫はできないのが現状です。
宮崎県のほとんどの肥育家は経済連のしがらみがありますから、
経済連の枝肉買い取り価格が上がらなければ、肥育農家は子牛を高値で競ることもできません。

残酷な言い方ですが、牛は結局は牛肉になりお金をとります。
その牛肉は、日本格付協会によるサシ基準により枝肉価格が決定してしまいますが、
実際には但馬や松阪などなど、、サシ以外のブランド牛肉が存在しており、
そのブランド牛はサシ以外の付加価値で高値で売買されますので
サシ基準での宮崎経済連、枝肉買い取り価格では宮崎県のほとんどの肥育農家ではブランド産地とは競り合えません。

今回の口蹄疫でも、肥育農家の「薄利多売」による狭い範囲での多頭飼育にも反映されています。

まずは、宮崎県が牛肉販売力を付け、肥育農家もそれに見合った努力をし、利益を得て、
そして繫殖農家にお返しをするのが筋かと。

そのまんま知事のネームバリューで売れる時代はすぎましたよ。

永田さん
なるほど、産肉能力が分かっていれば、その母牛の遺伝情報は残せるし、残さなければいけないですね。それは和牛業界全体での使命である気がします。
ただ、よい子が枝肉販売力のある県外に出ていくことは、良いことでもあるのでしょう。繁殖農家はOEM産業でしょうから、「子牛を買うなら宮崎で」というビジネスモデルになっているからこそ、こんな辺境の地(今では言い過ぎ)まで買いに来られ、そして繁殖農家も定年を有に超えた高齢になるまで仕事ができるというもの。繁殖農家それぞれが子牛をしっかり育て上げ、それにしっかりと肥育農家がお金を出す。お互いがっぷり四つの仕事です。
地域一貫はやはり無理ですか。確かに販売力が無い、販売できるだけの消費者の経済力が無いか。そこへきてブランド力に先手を取られて、他は二の次三の次では、値が上がらないですね。
となると、TPPを逆手にとって、逆にアメリカに宮崎牛として乗り込んで、アメリカ人のヘルシー志向を取り囲むのがいいのかも。どうしてもTPPは輸入品が入ってくるイメージがありますが、今のうちに販路拡大に経済連として動くべきですね。アメリカ産和牛と日本産和牛では勝ち目はどうでしょうね。
国内の消費には繁殖農家として子牛をOEM供給し、県内肥育されるものは、海外へ活路を開く(やってはいるのでしょうけど)。国内の消費者の奪い合いをしてても共倒れが見えてきますね。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: TPPと和牛と冷凍精液:

« せかい と ひみつ 町の品評会 そして郡品へ | トップページ | 口蹄疫対策検証委員会報告、一畜産農家として »

2022年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

GoogleAdsence

  • GoogleAdsence
無料ブログはココログ