福桜王の娘、えみこ が我が家へ
今年最後の12月セリ市には、大きな意味がありました。福桜王のメスが上場されるということ。最初で最後の・・・。
口蹄疫で殺処分された種雄牛49+1頭のうちの1頭である福桜王。試験交配で生まれた子牛が、選抜されて10月に後代検定で事業団とJAに買われて行きました。対象牛はオスメス合わせて15頭、内9頭は後代検定牛、残りの6頭は選抜外ということで、オス2頭、メス4頭はセリ上場ということでした。
選抜外ということで、当然発育・その他の要因で外された牛なので、見ても仕方が無いだろうと思いもしましたが、種牛がいないということは、種は市場に出回らないので、福桜王という血統の牛はもう見ることが無いと。ならば、今回しっかり見ておこうと、そして、「メスがいるということは連れて帰ることができる \(゚∇゚)/ 」。それが今回12月のセリ市でした。
オスは、11月と12月上旬に1頭ずつ上場し、価格はパッとしませんが、これがメスだったらと思う感じ。そして期待のメス、3日間の12月セリ市で、セリ名簿では初日2頭、2日目2頭の上場。初日分、ドキドキしながら見に行くと、いました福桜王の札を付けた牛が。ただ、確かに外された感が否めず、悩みながら辞退。それぞれ230kgで340千円と、255kgで347千円で落札されて行きました。なんか複雑な心境、残り2頭は次の日。
2日目、自分のセリもありましたので、旺を連れて行って手入れを済ませ、2頭を探しに行くと、1頭は一貫経営農家で欠場、もう1頭は・・・いました、これこそ最後の最後の1頭。でも確かに発育は明らかに遅めで貧弱な感じでしたが、体高はそこそこあり背線はしっかりしている。これだ、これしかない!でも役場に感触を聞くと「分からないでもないが、ちょっと」と難色。でも連れて帰る気満々なので、JA担当者さんに「買います、ボタン押し切りで!」とお願いし、事情も承知なので納得してもらいました。
自分のセリを終え、早々に購買者席に行き、セリを見守りました。会場に出てきて、セリスタート、229kgやはり小さいか?、金額はほどなく終了し、347千円と表示。私のホッとした心地よい心境の中、他の人の呆れた目線を気にせず、牛へと向かいました。
これで良かったのかどうか分かりませんが、我が家に福桜王という血統のメス牛が仲間入りし、繁殖することになりました。当然成績も分かりませんが、生体でメス牛がいるという事実が証明できたことがうれしい限りです。これも、口蹄疫の影響の一場面です。
名前は「えみこ」
血統は、福桜王×日向国×安平×福桜
平成22年2月10日生れ
セリ後計測 前高114、後高117、胸囲148、腹囲170cm
りんりんという母親の初産
今は、おばあちゃんの「たかもり」と一緒に、我が家の一員です。
お腹周りが若干貧弱、でもこれからしっかり養える範囲。
運動場走りまくり、いきいきしてる。
楽しそうにみんなと走る。
エサもバクバク、性格もおとなしい、撫でてあげるとじっとしてる。今まで撫でられてない様子で、少しオドオドしてる。すぐに慣れてくるでしょう。
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コメント
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目がクリクリで可愛いですね。
私が同じ立場なら同じ事をしていますよ。
情ってのも大事。
某カード会社のCMではないですが、プライスレスですよ。
愛情でいい牛に成長していくこと間違いなしですよ!
投稿: やっさん | 2010年12月21日 (火) 23時26分
思わず、目頭が熱くなりました。福桜王への思いが、「ボタン、押し切りで」という言葉で、伝わって来ました。
投稿: Cowboy | 2010年12月22日 (水) 02時48分
やっさん さん
プライスレスという響きはいいですね。こういう時使うんですね。
でも、程よい値段でよかったです。私が買わなければ、200千円台で終わってたかもしれないです。そうなると協力頂いた生産者さんに申し訳ないですから。
投稿: kawabata | 2010年12月22日 (水) 12時56分
Cowboy さん
ここ、というときはいっとかないと。
今回はそういう時でした。もう後がありませんから。
この子が後々、何かいいことがあるような無いような。後代検定の子らの結果次第です。牛の未来もそれぞれですね。
投稿: kawabata | 2010年12月22日 (水) 13時01分
すごく感動しました。
血を繋ぐことの本能的な
素晴らしさは、時に利益を超えますね。
あどけない眼が可愛いです。
私事になりますが息子が生まれたとき
これで私の実家の系統が続くと心から
嬉しかったものです。
えみこ嬢の幸多い未来をお祈りしています。
投稿: けい | 2010年12月22日 (水) 20時44分
けい さん
口蹄疫で種牛の殺処分の問題が取りざたされた時、他の県に似たようなものはいくらでもいるとか、7年もあれば種牛は造成できるとか、宮崎は内外からたたかれました。途切れた家系は元には戻らないのです。殺処分された種牛の生産者さんの、声に出せない苦悩は計り知れないです。けいさんのおっしゃっている血を繋ぐことの大事さは、利益云々ではないですね。
投稿: kawabata | 2010年12月22日 (水) 22時40分
感動です。それが牛飼い心意気だと思います。
お金ならまた稼げばいい話ですが、失われた命は二度と戻りませんから。
投稿: しげしげ | 2010年12月22日 (水) 23時02分
久しぶりで書き込みさせていただきます。
福桜王の子供達、ずっと気になっていましたが、
戻ってこられたんですね。
この血を繋ぎたいというお気持ちがよく分かり、本当に感動しました。
元気に育ってくれることを祈っています。
投稿: 千葉から | 2010年12月22日 (水) 23時37分
しげしげ さん
確かにお金に関しても少しは考えましたが、何とかなると振り払いました。そうしないと、きっと後悔しただろうなと思います。
投稿: kawabata | 2010年12月23日 (木) 09時45分
千葉から さん
子供たちも運が良かった。もう少し早い種付けで生まれていたら、事業団内で殺処分。もう少し遅かったら、試験種付け前で精液も取れず種牛殺処分でした。もう福桜王はいませんが、子供たちだけでも生きてくれると嬉しいです。でも他の子らも、肥育に行っているので、本当に残るのは、この子ぐらいでしょうけど。
投稿: kawabata | 2010年12月23日 (木) 09時53分
嬉しいはなしですね(*^_^*)
僕も(-_-;)
『たかなみ』の子を買い戻すつもりだったのですが
ブログの通り競り負けてしまいました
実は郡で五本の指に入る基礎雌だったのです(-_-;)
押し切ればよかったかなあ(-_-;)
投稿: しん | 2010年12月24日 (金) 12時33分
しん さん
「たかなみ」は貴重な牛だったんですね。残念です。でも、もしセリ勝っていたら、とんでもない金額だったんでしょう。やはりそこは、せり相手さんのオーラの方が強かったということでしょう。
投稿: kawabata | 2010年12月24日 (金) 21時30分