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2016年12月22日 (木)

BLV(牛白血病)について調べてみた。

BLVとはBovine leukemia virusで、牛白血病ウイルスのことです。
これに感染しても、牛の体調に異常は見られませんが、数年経ったある時、牛白血病を発症し死に至ります。
潜伏期間が永く、そして症状を見せないので、気付かないのがほとんどですが、感染した牛の内の数%が、牛白血病を発症するので、牛飼いにとっては厄介です。
牛白血病を発症した牛は、全て廃棄となるので、損失は甚大です。
そして、ここ最近、そのウイルスに感染した牛が、知らず知らずの内に、広がりつつあります。
肉用牛の繁殖を担っている以上、見逃せない事態ですので、色々調べてみました。

はっきりしていることは、発症した牛は全廃棄されるため、食肉としては出回らないということです。



[現状]
実際の陽性率は、乳用牛で40.9%、肉用繁殖牛で28.7%である。(H21-23農水省)
全国での調査の結果、約3割が感染牛である。

その感染牛の内、数%(5%以下)が牛白血病を発症する。
全体の頭数で見ると、肉用繁殖牛では、1.4%以下の発症率になる。

例えば、1日のセリ頭数が400頭だとすると、114頭が感染していて、
その内、109頭は問題なく飼育される。
しかし、内5頭以下が発症することになる。
但し、潜伏期間が永く、発症年齢も4才位~という報告もあり、肥育期間では発症しないケースがほとんどと思われます。

それに、発症のトリガーになるものがよく分からない。
恐らく、飼育環境や栄養状態、気候・人的・牛群などの色々なストレスが、それに当たると思いますので、農場によって発症のリスクは異なると思われます。

[治療・ワクチン]
治療方法は無いそうです。ワクチンも同じ。


[症状]
感染牛は無症状です。

発症した牛は、眼球突出、リンパ節の腫れ、削痩、元気喪失、食欲不振だそうで、乳量減少、下痢し、死に至るそうです。

[報告]
感染牛は報告は不要です。

発症牛は、家畜伝染病予防法の届出伝染病に規定されているので、届け出が必要です。

[感染]
感染経路は様々で、母子による垂直感染、介在動物や人為的による水平感染などである。
詳しくは、リンク先の参考資料にたくさん出てます。


以上が概要です。
読んだだけでは分からないので、家保(家畜保健衛生所)の方に直接聞いてみました。

都城家畜保健衛生所(担当エリアは都城地域と西諸地域)
・実際に検査を受けられているのは、少ないそうで、検査後の清浄化の話を聞いてやめるところもあるらしい。
・検査費用は家保で負担するので農家は不要だが、獣医が採血をするのでその採血費用を負担する必要がある。
・検査は、その後の清浄化を実施することが目的なので、調査だけの検査はしない。
・清浄化の主体は農家にあって、それを補助して実施に導くのが獣医。そして、それを助言したりサポートしたりするのが家保やJAや自治体の関係機関となる。あくまで農家主体で実施されるものである。
・検査は全頭であるが、子牛は含めない。繁殖向けのメス子牛なら検査した方がよい。但し、6カ月以上でないと判明できないらしい。
・検査は採血によって行われる。
・検査結果は、1~2週間で判明する。
・検査した結果について、販売などの流通させる場合の公表について、現在は必要無い。
 公表しなければならないという規定もなく、逆にしなくてもいいという規定もないそうである。実際の市場の約3割の子牛が感染していることをみれば、あえて公表し評価を下げる必要は無いのが現状でしょうと。
・検査方法は、1回目の検査で出た結果に応じて、1~2カ月後に再度清浄牛のみを2回目の検査として実施する。これを秋冬にかけて実施し、感染牛を確定し、清浄化へ向けた更新を図る。そして1年後に再再度検査を実施する。
・検査結果について、清浄化されたとみなされても、1年毎の検査は必要となる。
・清浄化されたことについて、「認定」という証明は出ない。
・清浄化へ向けて、感染牛の淘汰、更新に対し、補償は無い。但し、発症した牛は、共済へ加入していれば、通常の死亡や全廃棄として、共済金が出る。
・県としての取り組みは、現在検討に入ったところ。


次いで
都城地区農業共済組合にも聞いてみた。

H27年5月1日から、と畜場で牛白血病と診断され、全廃棄となった場合も共済金の支払いの対象になったことは、周知の事実ですね。
今までは、農場で牛白血病と診断された場合のみ、共済事故として支払い対象となっていたものに追加になったというもの。

とは言っても、実際にどれくらいの支払いがあるのか確認したら、通常の死亡事故と同じだった。
   その年度の評価額 × 付保割合 = 支払共済金

だそうです。
注意したいのは、感染牛の扱いですが、清浄化を進めるにあたりBLVに感染したからと言って、共済事故扱いにはならないということ。
それに、感染しているからと言って評価額が変わることも無いそうです。
なので、発症していなければ、病畜ではないということ。

因みに、感染牛を、清浄化を目的にと畜することは、問題ないそうです。
但し、支払共済金も出ませんので、肉代のみとなります。


最後に、
市場を管理運営する、JA都城にも確認しました。

まだまだ検討段階の為、明快な方向性は示せてないのが現状。
発症した場合の対応は従来通りある。
しかし、市場取引後の感染が判明したものについては対応しない。
といったことで、今後に期待です。

以上、個人的に調べてみた内容です。
以下に参考リンク先を明記していますが、ほとんどが研究論文ばかりで、「じゃあ清浄化ってどうするの?」といったことには、全く触れられていません。

なので、次回に私的検討した結果を記事にしていきたいと思います。


[参考文献]
・農水省 牛白血病に関する情報

 「牛白血病とは」pdf

 「牛白血病に関する衛生対策ガイドライン」pdf
  ※国はこれを出したことによって、検査や防疫するところには予算化するけど、後は個々人での対応です、と言っているようなものです。
   国がまとめて対策するとか補償するとか、期待しないと思った方がいいです。
   とりあえず、これは必読です。

 「(独)農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所 」リンク
  ※牛白血病の発生状況の詳細件数が出てます。

 「地方病性白血病(EBL)の清浄化に向けて(中央畜産会作成)」pdf

・鹿児島大学 
 「牛白血病の概要」PPT、クリックするとダウンロードします。
 ※難しいウイルスの話ですが、感染の度合いの高いもの低いもの、垂直感染の感染率、が書かれていて参考になる。

・肉牛ジャーナル2016 11月号
 「産地の生き残りをかけた牛白血病対策による差別化」HP
 「同Facebookページ」FBで一部が見れます。

・学術シンポジウム 北海道大学
 「増加傾向にある牛白血病の現状と対策~診療現場からの声に対して~」pdf
 ※人との関係や、感染の事例など多岐にわたる。

・日本農業新聞2016 12月22日
 「清浄化へ隔離飼育」岩手大学の取り組み。
 ※この記事を書いてるの同時に掲載されましたね。タイムリーです。


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眼球突出はかわいそう。リンパ節の腫れも、見れば分かりそう。


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ウイルスは非常に弱く、簡単な消毒で可能。

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