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2017年3月 2日 (木)

BLV(牛白血病)の法的位置付け。

どうしても、口蹄疫の影響が大きかったせいか、牛白血病としての清浄化について殺処分など同様に考えてしまうきらいが今でもある。
なので、大元の法的な位置付けについてみてみた。

対象となる法律が

とりあえず、この(予防法)の目的をおさえておきます。

(目的)
「この法律は、家畜の伝染性疾病(寄生虫病を含む。)の発生を予防し、及びまん延を防止することにより、畜産の振興を図ることを目的とする。」
とされてます。

(家畜伝染病の定義)ですが、牛に限っていえば、
  • 牛疫
  • 牛肺疫
  • 口蹄疫
  • 伝達性海綿状脳症(BSE)
と、15項目がありますが、牛白血病はありません

そこで、「患畜」とは、この家畜伝染病にかかっている牛をいい、
「疑似患畜」とは、この家畜伝染病にかかっている疑いがある、又は触れた疑いがある牛をいいます。

そして、この患畜は(予防法)の第16条で、「所有者は、直ちに、殺さなければならない。」と義務付けされています。
更に、(予防法)の第17条で、「知事が、まん延防止のため、患畜を殺処分することを命ずることができる。」とし、
疑似患畜については、「大臣が、まん延防止のため、殺処分の指定をし、知事が、疑似患畜も殺処分することを命ずることができる。」
とされています。



一方、牛白血病はというと、施行規則に「伝染性疾病」として定義されています。

(伝染性疾病)は、牛に限っていえば、
  • ブルーダング
  • アカバネ病
  • 悪性カタル熱
  • チュウザン病
  • 牛白血病
と、22項目が定義されています。

(届出義務)「届出伝染病」
その伝染性疾病に「かかっている、又はかかっている疑いがあることを発見した場合は、獣医師が知事に届けなければならない」、として(予防法)の第4条に規定されています。

ですが、牛白血病にかかった牛のその後の扱いについては、(予防法)(施行令)(施行規則)共に、何ら具体的には明記されていないですね。

因みに、この「かかっている、又はかかっている疑い」とありますが、この「かかる」は「罹る」と書きますので、「発症している、又は症状を呈している」という意味で捉えられると思います。
ということは、BLVに感染している状態ではないということだと思います。

じゃぁ、牛白血病としての扱いはというと、先に書いた(管理基準)と(ガイドライン)に行きつきます。
家畜としての健康状態を常に監視し、異常があったら即座に対応するよう書かれた(管理基準)。
そして、その中でも経済的影響が大きく、感染の拡大を止められない牛白血病は喫緊の課題であり、それを(ガイドライン)として定められているようです。



まとめますと、

家畜伝染病、としての口蹄疫。

伝染性疾病、としての牛白血病。

と分けて管理されています。空気感染をする口蹄疫の、その感染力の強さとは、明らかにレベルの違いがあるのだと思われます。


そして、それを象徴するように、患畜だけでなく疑似患畜という「触れた疑いがある」というところまでターゲットにしている点。
更には、所有者の意思には関係なく、大臣及び知事名で殺処分まで命ずることができる点は大きいですね。
所有者の、家畜という財産を奪うという意味では、収用法的な意味合いを持つようです。
患畜、疑似患畜という診断を受けた段階から、家畜としての資産価値を失いますので、その損失補てん金は必要ですね。


そう思うと、牛白血病は何らかの媒体を通じて、BLウイルスを含む血液を介さない限り、感染はしないし、発症もしないという点では、ややレベルは低く管理できる範囲と思われます。
発症すれば廃棄処理の為、資産価値は失われますが、BLVに感染しても数年間は通常の繁殖もできますし、肥育して肉としての販売も可能なので、家畜としての資産価値は十分あります。
口蹄疫のように、清浄化の名目のもと殺処分して損失補てん金を充てるという考え方は、BLV(牛白血病)の清浄化にはそぐわないですね。


ということで、
ざっくり書きましたが、口蹄疫と牛白血病とを、法律の上で同列に扱うことには、かなり無理がありますね。

やはり農家単位で、地道に淘汰・更新と、水平・垂直感染を防ぎながら、清浄化を進めるべきと思います。


因みに、現在口蹄疫が侵入して、殺処分となった場合、その患畜および疑似患畜の殺処分での損失補てん金は、「手当金」として支払われます。
その金額は、(家畜の評価額の最高限度額)として、牛にあっては95万円、と平成28年9月14日付改正の(施行令)第8条に明記されています。

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関係法令へのリンクが切れていましたので修正しました。
ご迷惑おかけしました。

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