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2019年5月28日 (火)

「和牛精液等の適正管理に関する指導の徹底」に違和感あり。

中国への持ち出しで明るみになった、海外への和牛精液と受精卵の輸出問題。
そのことで問題に上がってきているのが、その流通方法。
家畜改良増殖法に基づいて和牛精液と受精卵の流通管理を徹底するよう農林水産省より文書が出されています。

その中で、
3、畜産経営者による精液等の適正な管理について の項目の中でこのように指摘されています。

「家畜改良増殖法では、家畜人工授精所の開設をしていない畜産経営者は、自らの
雌畜に利用することを目的とする場合を除き、精液等を保管することが認められて
いない(「保管」の行為が、家畜改良増殖法上の「処理」に該当するため。)
このため、自らの雌畜に利用すること以外の目的となる行為(他者に譲渡する、
他者の雌畜に利用するなど)が行われることがないよう、各都道府県は家畜人工授
精所を開設していない畜産経営者に対して指導を徹底すること。」

この、「保管」=「処理」という理論に基づいて、畜産経営者の「保管」という行為を規制しようとしています。


家畜改良増殖法、同施行令、同施行規則において、「保管」とはというと、そのような項目は見当たりません。
規制されていないように思えます。

では、「処理」とは何かというと、具体的には書かれていないですが、いくつか文例を上げてみますと、

「家畜人工授精」とは、牛、馬、めん羊、山羊又は豚の雄から精液を採取し、処理し、及び雌に注入することをいう。
「家畜体内受精卵移植」とは、牛その他政令で定める家畜の雌から受精卵を採取し、処理し、及び雌に移植することをいう。
雄の家畜から家畜人工授精用精液を採取し、処理し、又はこれを自己の飼養する雌の家畜に注入する

といった具合で、「処理」とはその精液等の注入前の解凍や衛生関係の行為であることが分かります。
要は、その精液や受精卵の注入や移植の行為について書かれているので、ここに「保管」という概念はありません。

そして、もっとはっきりするのは、同施行規則の中の第33条(家畜人工授精所の構造、設備等)の中

家畜人工授精を行う場合にあつては、その採取、検査、処理保存又は注入に必要な器具及びこれらの ・・・」

と、「処理」と「保存」が別々に書かれています。
「処理」と「保存」は別々の行為だと分かります。

では、「保存」とは何かと調べると、同施行規則の第16条の4に

保存及び輸送の際家畜人工授精用精液、家畜体内受精卵又は家畜体外受精卵に対して悪感作を与えないような容器を用いること 。」

と書かれていて、ここで初めて「保存」=「液体窒素ボンベによる保管」と読み取れます。

よって、長くなりましたが、農水省が求めている適正な管理という「保管」行為は「処理」とは別物。
家畜人工授精所の開設をしていない畜産経営者による「処理」は適正な管理が必要だが、「保存」の適正管理は謳っていません。
畜産経営者が人工授精師の免許を取得せず、授精所を開設していなくとも、「保存」の行為は家畜改良増殖法では規制されていないものと思われます。

以上の文書は、農水省の和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会第3回検討会(平成31年4月16日)
の中の、(資料2-2)和牛精液等の適正管理に関する指導の徹底について

そして、家畜改良増殖法も検索してご覧ください。

どう見ても、畜産経営者=「悪」であって、現行の法律で縛りたいのでは、と思われてなりません。
海外への輸出に規制できない事への焦りのような。

もっと農家の話を聞いた方がいいのでは?と思ってしまいます。




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和牛精液」カテゴリの記事

コメント

5/22日本農業新聞の記事も読みましたが、
現在国内で、白○85の3で一人勝ちしている鳥○県がこれを機(精液等の海外流出未遂事件)に国(農水省)や全和をうまく巻き込んで、畜産経営者等を管理(規制)しようとしているようにしかみえませんね。

鳥○県畜産農家 → 仲介ブローカー → 他県畜産農家(使用差し止め?)
になった場合、訴訟問題に発展しかねないですね。

日本の和牛遺伝資源保護(海外流出防止)と国内流通管理方法は密接に関係しているとはいえ、一緒くたにしてほしくないですね。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/20190521/4040002638.html

>はまちゃん さん
これまでに、税関から種の国外持ち出しについて問い合わせがあったはずで、それを見て見ぬふりをしてきた経緯があると思います。
ホントに今まで国内法では規制できなかったんでしょうね。
それを今になって慌てて検討に入ってますw

ここでも不思議なのは、県内の種が県外に出ていくのは不正利用だとしていますが、では、入ってくる種は不正利用ではないのでしょうかね。
入ってくる種によって、県内種の競争力を失うのは問題とはならないのかな?w
まぁ、それをうまく利用して種牛を造ってる事実もありますもんね。
一緒くたにしてほしくないのはホントに同じ意見です。
今回の件は、論点がズレているようで違和感しかないです。

人工授精は精液採取から始まって注入までのことです。人工授精の処理は採取と注入の間の業務全体を指しています。保管は処理の一部になります。

>さばっち さん
お詳しいんですね。
失礼でなければ、人工授精師さんというお立場でよろしいんでしょうか?
私は無資格者ですので教えて頂けたらと思うのですが。
後に保存と明記されていますが、保管との違いは何なのでしょうか?
それと、授精師の資格取得時のテキストに「処理」という項目があり、そこには何が書かれているのでしょうか?
無理言ってすみませんが教えてください。

免許有の牛飼いです。
保管=一定状態で保つこと(窒素容器に入った状態)
保存=一定状態で保つこと+一定状態にするために手を加えたりすること(精液にグリセリン等加える)
処理=業務をさばくこと
人工授精=採取→ストロー化→凍結→保管→融解→注入
中間を省略すると
採取→処理→注入となります。
農家での保管はできますが転売は免許があってできません。開業する必要があります。

追伸
精液採取だけ行っている種畜場も人工授精所になります。

>さばっち さん
回答ありがとうございます。
ケンカしたいわけではないので、フラットに見てもらいたいのですが。
農水省の文書には、「保管は処理にあたる。・・・処理は資格が必要。」
となっています。
よって、資格のない農家は「保管」は出来ないことになります。
ここで矛盾が生じます。

それに、保管が有資格者のみとなれば、宅急便等の運送会社も資格がないとの理由で断る口実を作ってしまいます。
なので、保存という言葉で資格からは分離し、保管という言葉は使わない方がいいと思っています。

自己所有の牛には免許が無くても人工授精ができます。自己所有の牛に人工授精する目的があれば保管することは問題は無いです。裏を返せば単純所持はできないということです。輸送について法律的にどうかは分かりません。医薬品などの輸送と同じと考えればいいと思います。精液の場合は液体窒素の方が問題になってくると思います。農水省の通達で農家が問題になってくるのは農家間で精液のやりとりしていた人が今後出来なくなることです(元々駄目ですけど)。

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