カテゴリー「受精卵」の4件の記事

2018年9月 8日 (土)

凍結保存容器(LN2液化窒素用ボンベ)

通称「ボンベ」

牛の繁殖子牛生産の現場においては無くてはならない物です。
中には種雄牛の精液がストローに充填され、液体窒素で凍結保存されています。
また、母牛から採取した受精卵を保存するのにも使用されます。

中には液化窒素が充填され、温度はマイナス196℃(-195.8℃)になります。
というか、正確には沸点がこの温度なので、これ以上の温度の物や空気に触れると蒸発(気化)してしまいます。
蒸発(気化)すると、646倍(0℃)に膨張するようです。

温度で気を付けないといけないのは凍傷。
蒸発することで気を付けなければいけないのは酸欠。密閉した部屋や車の中だと、転倒した場合に急激に室内の空気が窒素に置換され酸欠になります。
それと、膨張することで気を付けなければいけないのは、ボンベの破裂(爆発)。ボンベ内でも常に蒸発しているので、ボンベ自体を完全に密閉してしまうことは大変キケンです。

そんなボンベ、昨年(2017)購入しました。

メーカーも種類もいろいろあります。
私は、クライオワンのDR-17という製品にしました。

選定の基準となる項目には色々ありますが、以下のものが主になるのではないでしょうか。

(1)収納本数
(2)再充填期間
ですかね。

(1)収納本数(DR-17の場合)
 精液ストロー0.5ccが600本、または0.25cc(受精卵用)が1140本となっています。
 収納にはキャニスターという筒状の容器があって、そこにストローを入れます。
 そのキャニスターが6本セットできるようになっています。
 なので、0.5ccのストローなら一つのキャニスターに100本入る計算です。
 ですが、そのキャニスターには更に4区画に分ける仕切りをオプションで入れることができます(写真)。そうなるとこの本数は無理かもしれないですね。
 因みに、このキャニスター、底穴有と無しがあるそうで、私は穴無しにしました。
 引き上げたときに液化窒素に浸かったままか、そうでないかの違いになります。
 確かに浸かったままだと見にくいんですけど、安心感がありますね。


(2)再充填期間
これは、購入後のメンテナンスに大きく影響します。
ある人は毎月充填日を決めてるとか。
ある人は気がついたら空っぽ寸前だったとか。
液化窒素は常に沸騰(気化)していますので、何もしなくても、全く開けなくても、自然に無くなっていきます。
私のDR-17の場合は、
再充填期間:59日となっています。約2か月は入れなくていいのかな?
これ以外に、保持日数があって
保持日数:95日となっています。空になるのに3ヶ月ってこと?

取扱説明書では、容器の全内容量の1/3~1/4に減った時に再充填するのが望ましい、と書かれています。
じゃあ、どうやって測るの?と言ったら、専用のゲージが付いています。
ただのプラスチック製の物差しですが、これを底に着くまでゆっくり差し込み、10秒ほどで出します。すると、液化窒素に浸かった部分のみに霜が付いて底からの残量が分かります。
満杯時の液量が31.4cm
1/3残容量時が10.5cm
1/4残容量時が7.9cm
なので、10cmを下回ったら要注意、8cmを下回ったらレッドラインといったところが、運用基準でしょうかね。
因みに、僅かでも残っていれば内部温度は-180℃に保たれるそうです。
しかし、ホントに残量0の場合、10数時間で-100℃に達し、更に上昇し続けるそうです。

で、実際1年間運用してみた結果は以下の通りです。
初回の充填をして以降、8回再充填しています。

8/22       初回充填量20.3ℓ、金額5,480円
~8/27 370日、総充填量73.9ℓ、再充填金額19,930円

となり、一年間で2万円のメンテナンス代がいることが分かります。

1日の損失量を計算してみると、0.2ℓ(0.1997ℓ)になります。
全て無くなるには、101日になりますので、保持日数95日通りですね。

気になるのは、夏場と冬場での損失量に違いがあるのかですが、表を見ると、

夏場は、0.21ℓ/日、56円/日
春秋は、0.20ℓ/日、54円/日
冬場は、0.19ℓ/日、52円/日で、若干の違いでしょうか。
夏-冬の差が4円程なので、一月で120円の差ですね。

液化窒素を充填してくれる会社の人に、「損失減らす方法ないですかね?」って
聞いてみると、即答で「無い!」って言われました。
計算してみると若干の差は出ますが、-196℃からすると夏冬の気温の差なんて大したことないので、損失量を減らすなんで難しいようです。
ただ、米の保冷庫のような涼しいところに置いておくのは、いいかもしれないですね。
手間ですけどw

少しお高いですが、ここのメーカーにはSRのシリーズもあって、断熱の違いがあり、損失量を半分近くにするものもあるようです。
トータル的なランニングコストを考えると、こちらの方がいいのかもしれないですね。
但し、再充填期間が長いと言う事は、充填するのを忘れる、と言う事もありますので、注意が必要ですね。

と言う事で、ボンベについて書いてみました。
これ以外にも、種類のいろいろとか、輸送方法とか、盗難防止とか、ボンベにまつわることは色々ありますが、また気になったら書いてみたいと思います。
私もそうでしたが、まだ持っていない人には未知の世界ですし、中がどうなっているのかも簡単に見れるものでもないです。
液化窒素を充填する前の写真も添付してますので、参考にして頂ければと思います。


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新品のボンベですね~外回りの布のようなものは保護用です。



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6本のハンドルがあり、その下にキャニスターがあります。


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普段は覗けないですね。底の真ん中に丸い突起が出てます。
その脇にキャニスターが並びます。お互いが当たらないようにですね。


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6本均等に並んでます。うまく脇に寄せないとキレイに入らないですね。


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これが仕切り板。一応ホプションのようです。
これをキャニスターの筒に入れます。

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1~4までの穴が開いていて、蓋になっています。


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これがゲージです。これをゆっくりと底に着くまで差し込みます。
急いで入れると無駄に蒸発してしまいます。


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底に着いたところ。ゆっくり引き上げます。


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最初は全体白くなっていますが、少し間を置くと浸かったとこだけに霜が残ります。


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私は必ず記録を残して、いつでも見られるようにしてます。



Photo
年間2万円のメンテナンス料が要ります。
もし怠ると、これでは済まなくなりますね。
色分けは、夏が桃色、春秋が緑、水色が冬です。


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カタログデータですね。大きさも本数もいろいろです。
損失量0.183ℓ/日なので、若干多く損失してます。僅かですが。


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なるべく1/4は下回らないようにしたいですね。

2018年8月20日 (月)

受精卵の採卵 (このみ×美国桜)

本日8月20日は、「このみ」の採卵日でした。

結果から言いますと、やや(かなり)しょっぱい結果でした。

Aランク 5個 (凍結)
Bランク 0個 (凍結)
Cランク 0個 (生移植用)
Dランク 1個 (変成卵)
未授精 21個  

結局、使えるのは 5個でした。

昨年の採卵時は、17個凍結し総回収卵は 22個でした。
それからすると、今回の総回収卵は 27個ですので、母体としての反応は良かったと思っています。
ですが、未授精というのは実に残念ですね。
でも、この結果に心当たりが無いわけでもないのです。

今回は、発情が長かったと言う事です。

前回は
4/24 未明より発情~
      ~6:00 激しい。
      ~14:30 激しい。【種付1】
4/25 ~朝6:00 落ち着く。
      ~9:30 落ち着く。【種付2】

発情時間は概ね26時間程になります。

今回は
8/13 未明より発情~
      ~6:00 激しい。
      ~16:00 激しい。【種付1】
8/14 ~朝6:00 激しい。
      ~9:30 やや激しい。【種付2】
      ~16:00 受け身で乗られる。
      ~18:00 落ち着く。

発情時間は概ね35時間ぐらいになります。
約10時間は長く発情していますね。
これだと、次の日の8/15の朝に種付け追加しても良かったのかなとも思いました。
結果からしか分からないので、次の時の参考にしようかと思います。(あるのかな?)

そして、今回は2名で共同採卵でしたので、受精卵も費用も半分になります。
私が母体を提供し、種を相手方に提供してもらっての条件です。
そのこともあって、この個数はやや荷が重い結果となりましたw
ま、言っても仕方がないですね。

今回も 「このみ」 頑張ってくれました。
今年で11才と高齢でもあり、尚且つこの死者が出るような酷暑の真っただ中での採卵でしたが、立派な発情だったと思います。
まだまだ生産能力は高いんだなと実感してます。

もうちょっとガンバッてもらおうかなと思います。

このみ~お疲れ様でした~

今回使用精液 美国桜(第1花国×美津福×紋次郎×糸光◆)
このみ(勝忠平×紋次郎×平茂勝)
平成19年生まれ、11才。
基礎雌牛に採用されるも3年で退任。
育種価2.4。2産目517kg、芯74、BMS11
平均分娩間隔359日

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未授精か~orz

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少し肥えてきてますね。

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高齢ですが、全く崩れてこないですね。立派です。

 

2018年4月26日 (木)

受精卵の採卵(みくの1×真華盛)

4月20日は 「みくの1」 の採卵日でした。
結果は上々期待以上でした。

結果から記しますと、

Aランク 7個(凍結)
Bランク 6個(凍結)
Cランク 6個(生移植用)
Dランク 4個(変成卵)
未授精 4個

となり、A・Bの13個を凍結できました。
なかなか採れにくいと評判でしたので、心配していましたが無事責任を果たせた感じです。

今回のドナーは、「みくの1」で血統は「華春福×百合茂×安糸福」
使用種雄牛は、「真華盛」で血統は「第1花国×福桜×紋次郎」です。
真華盛は検定でBMS9.3を叩き出した種雄牛です。
この受精卵での産子は、「真華盛×華春福×百合茂×安糸福」となり、期待できそうな面白い血統ですね。

そして、今回の採卵は三股町の受精卵協議会での採卵でして、3年で「華春福」を15頭の導入しての事業でした。
1頭当たりの導入補助があり、それ以外を農家の手出しで導入したものでした。
私の前に先行して導入されたところで、順次採卵をして、町内への受精卵の供給を行っていたのですが、聞こえてくるのは、「採れない」、「少ない」など、かなり難しいとの情報ばかり。需要に供給が全然追いついていない状態。
「華春福」は採れにくいんだ、という空気が流れていました。

そして我が家も初産を無事終え、初回発情を確認後、2回目の順調な発情兆候を確認し、採卵プログラムスタート。
昨年も「このみ」で個人採卵として採卵しましたが、注射を3日間で8回打つんですが、これが人も牛もストレスが溜ります。
ですが、今回のは1ショットという新しいもので、3回にまで減らせます。
効果は変らないと言う事でしたので、これはイイですね。

その後、明瞭な発情があり、2回種付け。
授精師さんも、「お!反応がいい!」と言う事を聞いて少し安心。
でも、まだまだ採れるまでは・・・

20日に農業共済に連れていき、帰宅して連絡待ち。
昼前に連絡が入り、「無事採れました」と上記のような結果でした。
これでやっと責任を達成しましたね。
そして、1個は無償で貰うことができました。報酬みたいなもので、20個凍結出来ていたら2個だったんですが、そこは無理でしたw

やはり、前評判が良くなかったんで、事前の準備には気を使いましたね。
実質、初産の分娩2カ月前よりも前からスタートさせてました。
ビタミン剤、カルシウム剤、ごま搾りかす等々、えさと運動には気を使いました。
昨年の成功体験がありましたので、その事例を元に組み直し、採卵日まで決めてました。
参考までに使用したのは、ディファゾール、アルギスタミナ、バイミルク、ごま絞り粕。
普通に手に入るものばかりですねw

それと、今回は同期化も試みました。
昨年の採卵時はCランクが無く、生移植が無く良かったね、で終わってたんですが、今回だけは「採れない」との評判でしたし、ひょっとするとCランクばかりとかなった場合、泣く泣く廃棄、となると残念ですので、もしもを考えての同期化でした。
と言いつつもやったことが無かったので聞いてみると、採卵牛と同じタイミングでシダー挿入からスタートし、発情誘起させるんですね。
数日遅れてのスタートでしたが何とか間に合い、いい発情でしたが、残念ながら黄体の形成が弱く、今回は断念しました。ここまでは順調だったんですが、ぽっちゃり系の「せいか」、もうひと押しでした。
でしたが、他の方で同期化をされてる方がおられ、2頭準備出来てると言う事でしたので、Cランクの6個中2個は生移植できたようです。
無駄にせず、セーフティーネットが働いて良かったですね。

ということで、初回の採卵は完了し、この後普通に種付けして2産目を出産させて、来年再度採卵です。
順調に種付けして止まればいいのですが、牛にとっては大仕事をした後なので不調をきたす場合があります。
昨年は「このみ」に3回目の種付けで何とか止まりました。
「みくの1」はまだまだ若いので種付けして来年へつなげたいところですね。


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採卵プログラムスタートです。
注射の数が少ないのはイイですね。


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激しい発情でしたのでどうだろうと思っていましたが、受精師さんが「お!」って。
他の華春福も診てきているので、これは反応がいいと言えたのでしょうね。


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採卵結果、計27個の卵が出たと言う事なので、ホントに反応良かったんだと思います。
血統的なものにもよるのかもしれないですね。そんな話も聞こえてきます。


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採卵後のみくの1、帰ってきた直後はフラフラでしたが、ひとしきり食べて休んだので、運動場では元気でした。


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元気でよかた。


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さて、同期化を試みた「せいか」でしたが、若干肥えてるので影響したのかも。
獣医に「肥えてる!」ってはっきり言われましたしw
まぁいい、次の時に何とかするし。

2017年5月30日 (火)

初めての受精卵の採卵(耕富士×このみ)

初めての受精卵の採卵に挑戦しました。

ドナーは「このみ(勝忠平×紋次郎×平茂勝)」で、

種付する種雄牛は耕富士(忠富士×福之国×安平)で、

結果は、
Aランク14個 (凍結)
Bランク 3個 (凍結)

Cランク 0個
Dランク 4個
未授精 1個
となり、A~Cは移植が可能で使えます。
通常、10個もできれば良好なのですが、17個も採卵ができすばらしい成績でした。

このみ、ありがとう。お疲れさまでした。


この「このみ」ですが、種雄牛を生産する「基礎雌牛」に認定されていました。
2産目の成績が良く、福之国の去勢で567kg、ロース芯74cm、BMS11と好成績で、
平成25年より認定を受け、指定交配を試みましたが、産まれた子は残念ながら検査をパスせず、
平成28年に認定解除となりました。

解除時に受胎している子は指定交配された子なので、もしオスなら候補牛として検査をうけるのですが、残念ながらメスでした。
宮崎の種雄牛造成の中で、勝忠平母体の種雄牛がいないので、是非とも上がってほしいと思っていましたが、なかなかうまくはいかないものですね。
しかし、全国的に見ても、勝忠平での種雄牛は少ないのにね。


ですが、
その産まれたメスは種雄牛が耕富士で、立派な体格をしていました。
このみの9産目ですが、体重が50kg程(推定)で産まれてきて、これなら生産母体に向くなぁと直感したのでした。
完全なる保留確定です。正直このみは、この9産目までずーっとオスばっかり産むものですから、後継牛ができなかったんです。
血統的にも、能力的にも後継牛が確保できたので、助かりました。


成績も優秀、血統的にもイイ、後継牛にも目途がたった。
こんなことで、この「このみ」の採卵に踏み切りました。

採卵には、過剰排卵処理やCIDR(腟内留置型黄体ホルモン製剤)、そして採卵と、かなりの負担をかけるので、予後不良といった事態を想定しなければならない。
後継牛は確保しておかないといけないんですよね。
ということで、今年目標としていた採卵は無事達成できました。
これは、実は予行練習の意味合いもありました。
昨年10月に導入した華春福は、町の受精卵事業の対象牛で、1産した後採卵の予定です。
初めての採卵でこの事業に臨むのは気が引けていたので、どこかで練習をしておきたかったんです。それが、丁度いいタイミングで、それも同じ4~5月頃の採卵でこのみができたのは計算どうりか偶然か。
どちらにせよ、今回得られたノウハウは来年の採卵に活かせるものと思います。

さぁ、後はこのみの受胎と、得られた卵の移植です。
このみは採卵後1カ月が経つところですが、未だ発情再起してません。ちょっと心配。

そして、移植はあさって6月1日に初回移植を予定してます。
移植の受胎率はこの近所で聞くのは3割といいます。
17個の移植をしても、5頭しか産まれないことになります。
これではこのみに申し訳ないので、なんとか100%に近づけるようにしないといけないですね。
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採卵プログラム、なかなか大変でした。このみも。


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無事17個も凍結できました。


Photo
1/31生まれの「れれ」、耕富士×このみ
現在3σを超えてる成長度合いです。
楽しみですねー
※非売品です。
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